友達の作り方 チャッピーとの遭遇

「おい! おい! どこ見てんだよ!?」

これは私が高校時代に遭った出来事。学校が終わり、帰りの駅まで歩いている途中だった。前方から歩いてくる見ず知らずの学生三人組と目が合ったすると、こちらに近づいてきて、いきなりこんな絡み方をしてきたのだ。

こんな場面に出くわすなんて、漫画やアニメの登場人物くらいなもんだと思っていた。それが現実で遭遇してしまうなんて、私はなんと運がないのだろうか。

しかし、実際に出会ってしまったからには、対処しなければならない。さて、どうしたものか。

相手が本当に求めてみるものを見極める

だいたい、自分から近づいてきておいて「どこ見てんだよ」とはいかがなものか。そっちから勝手にこっちの視界に入ってきたんでしょうに。とか思ったのだけど、それを口に出すのはこらえた。言った瞬間にぶん殴られるかもしれないし。

そんなことより、彼らの目的は一体なんなのだろうか? それ次第で、こちらが取るべき行動も変わってくるだろう…

目的1:喧嘩相手が欲しい

喧嘩を売ってきているとしたら、こちらは「んだと? やんのかコラァ!?」とでも返せば良いのか?

いやいや、私はそんなに身体を鍛えていないし、相手は三人だ。特に厄介そうなのは冒頭の台詞を言ってきた人。髪を茶髪に染め、小太りではあるが見るからに不良そうな男子生徒。その後ろについてきている二人は見た目は普通の学生。だけど何も言わず、こちらを見てニヤニヤしているのが不気味だ。喧嘩になってしまったら、体格的にも数でもこちらが不利だ。

そもそも、私は路上で無駄な喧嘩なんかやりたくない。無謀な喧嘩なんてして、翌日の地元新聞に「路上で学生同士が喧嘩。1人が入院」なんて書かれるかもしれない。その入院した1人になるのはごめんだ。落ち着け。私はただ、平穏な学生生活を過ごしたいだけなんだ。

待てよ…? 明らかに喧嘩を売ってきているような感じの絡み方ではあるが、本当は別の目的があるのではないか?

目的2:新しい友達が欲しい

実は彼らは新しい友達が欲しいのではないだろうか?

でも、初めての相手にどう話しかければ良いかってのは、意外と難しい。友達として長く付き合いたいとなると、その場限りでの関係で終わってはいけない。だから、ファーストコンタクトで関係を繋ぎ止めるためにも、最初の挨拶が肝心。

そう考えると、冒頭の台詞は彼なりの挨拶だったのかもしれない。表面的には喧嘩を売ってるという意味でのご挨拶として受け取れるのだけど、そうじゃない。

新しい友達が欲しい! だけど不器用なもんだから、あんな挨拶の仕方しかできなかったのだろう。長い付き合いをしようと思えば、第一印象は大事だ。相手が忘れられないような、強いインパクトのある挨拶が必要だったのだ!

つまり、翻訳すると…

「おい! おい! どこ見てんだよ!?
(こんにちは! 初めまして! 調子はいかがですか?)」

となる。そう、この括弧内こそが、真意なのだ!

ああ、それにしても…。なんと不器用な人との接し方であろうか。これからもこんな感じでは友達ではなく、敵だらけの人生になってしまうのではないか?

ここは、私が友達になってあげて、正しい人との接し方を教えてあげねば。間違っている事は、ちゃんと間違っているんだと指摘してあげる。それこそが、本当の友達と言うものだろう。

とにかく、そうとわかれば、私もこれに相応しい返事を言えば良いだけのこと。そして、彼らとお友達になるのだ。さあ、私の返事はこうだ!

「おいおい瞬殺だよ。
(初めまして! 調子は絶好調です! そちらも調子はどうですか?)」

こう返してみたら、喧嘩を買ったとみなされ、ボコボコにされた…
なんてことはなく、なんと本当に私達は友達になれたのだ!

「お前、面白い奴だな! 気に入った! 良かったら連絡先交換しようぜ!」

「ああ、いいよ!」

これがきっかけで、今でも連絡を取り合う仲になった!

あんなに不器用だった彼も、今では立派な大人へと成長し、たくさんの仲間に恵まれた。しかも、運命の人とも出会い、結婚して子供も生まれている。実にめでたい! 毎日仕事と育児にも追われて大変な面もあるが、それでも彼は幸せそうな日々を過ごしている!

でも友達になれそうにない人もいるよね

…なんてこともあるはずもなく。

当時の私が実際にとった行動は、無視してそのまま帰りの駅まで歩いて行っただけでした。実は友達になりたいのだろうなんて当時は微塵にも思うはずなかった。ほんの一瞬の出来事だったし。

多分、彼らは暇つぶし程度に、道行く人をからかって遊んでいたのでしょう。自分らの退屈しのぎのために、全く関係ない他人を巻き込むんじゃない。

絡んできた三人組は、無視して行った私の後を追いかけてきたりはしなかった。
私はその後、駅の前で同じ高校に通う友人と偶然会えたので、一緒に帰りの電車に乗った。

そこで、絡まれた事を話してみると…

「…実は俺も絡まれたんだけど、同じ奴らかも」

「え、マジで!?」

「今日は体育があったんだけど、着替えるの面倒だから、体操着の上にそのまま制服の上着を着てさ。こんな格好だったからなのか知らないけど、『かっけえ!』と叫ばれたよ。まあ、それだけだったけど…」

絡んできた相手の特徴を聞いてみると、確かに一致した。カッコイイの基準がわからないけど、私と友人との扱いの差は一体何だったのだろうか…。私は普通の制服姿で歩いていただけなのに、なぜか文句を言われたんだぞ! 理不尽じゃあないか!

友人と別れるまでその話題で盛り上がっていたけど、例の台詞を言った人の名前がわからないのは不便なので、勝手に名前をつけてあげることにした。茶髪で少しピザ(太っている人を指すネットスラング)だったという特徴から…

茶髪ピザ → チャパツピザ → チャピ → チャッピー

と、チャッピーと呼ぶことにした。私のネーミングセンスが良いかはともかく、友人は「随分と可愛らしい名前になったな!」と笑っていた。

この出来事からだいぶ経った今でも、私と友人はチャッピーの話題で笑ったりしています。人に対してやった一瞬の行動が、ずっと笑い話の種にされ続けることもある。だから、人に向かって恥ずかしい行為をするのは止めた方が良いですね。

まとめ

知らない人と出くわす。それはまさに未知との遭遇。危ない人物だと感じたら、距離を取るのは当たり前のこと。付き合う人は選んだ方が良い。

しかし、最近はチャッピーの事を思い出すと、私の行動次第では、本当に彼ともお友達になれた未来もあったのではないかと、思ったりもしています。誰かと友達になるきっかけというのは、色々な形があるでしょうし。

とはいえ、別にそこまで無理して友達を作ろうして、痛い失敗しなくて良いとも思うので、やっぱりチャッピーとは友達になれなかったと思います。本当に新しい友人や知人が欲しければ、自然体かつ礼儀を持って人と接するのが良いでしょう。

色々と書いてきましたが、私が今回言いたいことは、初対面相手に挑発的な言葉を吐くようでは、友達なんかまずできないということ。私が視聴してきた2018年春アニメの中では「ヒナまつり」が特に面白かったというだけです。

スポンサーリンク

シェアする

フォローする